転職のきっかけは何ですか?
前職の会社の事業環境の変化を契機に、新たな領域で自分の専門キャリアを試してみたいという思いもあり、転職を決めました。自分のキャリアを活かせると同時に、さまざまな領域で新しい技術に触れる機会の多い会社を志望。富士フイルムは医療機器やバイオCDMOなどのヘルスケア、半導体材料などのマテリアルズ、カメラなどのイメージングや事務機器など、幅広い事業領域と製品ラインアップ、技術を有し、一方で新しい事業にも果敢に取り組んでいることから、知的財産業務の果たす役割も広範であり、その重要性も高いと思いました。
普段どんな仕事をしていますか?
また仕事をとおして大切にしていること何ですか?
富士フイルムでは、2019年に旧日立製作所の医用画像診断装置事業を買収し、新たな事業をスタートさせました。私の役割はそれぞれの知的財産業務の統合に向け、知財面での各種課題の抽出と解決を図ることです。特にそれぞれの会社の製品がもつ強みを組み合わせて、いかに新しいシナジーを創出するか念頭に置きながら、開発技術を特許出願につなげる提案から、知的財産リソースをどこにどう配分・投入するかといった、事業の将来を見据えた知的財産戦略の策定まで、弁理士と知的財産アナリストの二軸の視点を生かして取り組んでいます。統合に向けての業務では、それぞれの立場の話をよく聞き、理解することを心がけています。両企業の歴史的背景も異なりますし、それにより知財業務に対する考え方も違いがあります。まずは相手を理解することが大切だと思っています。
仕事をとおしてどんなときにやりがいを感じますか?
知的財産アナリストの役割は、年々、大きくなっており、その分、貢献度も高く、果たす責任も大きくなっています。知的財産分野にIPランドスケープという考え方があります。これは知的財産(Intellectual Property)と景観(Landscape)を組み合わせた造語で、知財情報を可視化・分析し、経営戦略や事業戦略に活用していこうというものです。もちろん、知的財産業務には特許の出願業務や他社の特許対策などの業務もありますが、富士フイルムの知財技術部の役割は、経営戦略や事業戦略につなげる知的財産アナリスト的な役割がひじょうに大きいと思います。こうした経営戦略や事業戦略に関われることが一番のやりがいです。
前職と比較してどんな成長をしたと思いますか?
また成長環境の違いを教えてください。
思考のフレームワーク(STPDサイクル)を身につけたことや、より広い視野(市場・競合・自社など)に立って課題をとらえるようになったことでしょうか。それにより、知的財産アナリストとしての課題解決に向けた計画を策定する思考が形成されたと思っています。前職では知財の専門家としてのキャリアを積みましたが、ややもすれば専門業務に閉じこもりがちでした。富士フイルムでは経営や事業、開発というより高い視点から知的財産を考えるようになったと思います。
また、フラットな会社組織が社員一人ひとりの成長を促していると思います。知財技術部に関していえば、知財業務のインフラ、たとえば高価な解析ソフトが整備されているなど、必要に応じて投資も行なっています。こうした環境整備も社員の成長にとって大きいと思います。
仕事をとおして目指していることは何ですか?
それに向けて挑戦したいことは何ですか?
事業開発の上流に関わり、新たなビジネスの創出に貢献することです。富士フイルムには多くの製品・技術があります。それらの技術を補ったり、組み合わせたりすることで、新たな製品を生み出す可能性に満ちています。私たちは、クリエイターではなく、エディターのような存在だと思っています。クリエイターである開発者に対して、編集者としての情報を提供し、新たな製品・技術を生み出してもらう、そんな存在を目指しています。
富士フイルムの魅力を教えてください。
製品・技術と知財業務の両軸で、幅広いフィールドを有し、さまざまな活躍の機会を提供できるポテンシャルをもつ職場であることが、最大の魅力だと思います。毎年1回、知財部の社員が全員参加して、日々の業務から抽出した課題と解決に向けた取り組みを発表し合う「課題交流会」が開催されます。交流会に参加する社員一人ひとりの課題意識がとても高く、そこではつねに活発な議論が行われます。こうした場に立ち会うと、改めてフィールドの幅広さと多彩な人材を再認識し、働く場としての富士フイルムの魅力を感じます。
転職活動中の方へのメッセージをどうぞ!。
私は新卒でも、転職でも、比較的スムーズな就職活動ができたと思っています。その理由はおそらく、何をやりたいか、明確な目標があったからだと思います。大学時代に特許業務に興味をもち、今後、企業において知的財産が重要な役割を担うと確信し、知的財産業務に関われる会社を志望し、転職に際しても、自分の専門性をさらにアップさせる会社を目指しました。知的財産分野は、知財分野の専門性を生かしつつ、事業戦略にも関われる、ひじょうに面白い仕事だと思っています。